つい先週、現場近くの山奥に、熊が出たという情報。
別に珍しくもありませんけどね?
こちら北海道、山に入れば熊なんて普通にいますし、下手すりゃ街まで下りて来ますし。
熊の出没情報なんて、日常茶飯事的に、良く耳にしていますから。
ってまあ、ボクは未だに観た事がありませんけどね?
うじゃうじゃいる割には、滅多に観られないのが『熊』ですから。
いっぱいいると言いながら、実は意外にレアなのが、熊さんに出会う事なのです。
さて、そんな日常茶飯事的な、熊の出没情報。
それを聞いてふと思い出したのが、ボクが若かりし頃に関わっていた、とある断崖の現場。
『道路に落ちそうな岩がある』とかで、その岩を除去するのが、その時の仕事の内容でした。
―――
そこは道路よりも遙かに標高が高く、命綱無しでは決して登れない様な、急斜面。
その岩肌に、鉄パイプなどで『仮設の階段』を作り、現場に行き来していたのです。
ボクも何度もそこに登りましたが、怖かったですよ〜、マジで(汗)。
と、ある日のこと。
崖の一番上、ちょっと平らになった場所で昼食を摂っていた、作業員さん達。
その後ろには深い森が広がっており、食事の匂いに釣られたのか、珍客が一匹現れたのだそうです。
「あ、小熊だ!(笑)」
こちら北海道、ちょいと深い森に近ったならば、当然熊だってうじゃうじゃいる。
然るに、山奥で働く作業員さん達にとって、熊はさほど珍しい生き物ではありませんでした。
しかし至近距離で目にする事は滅多に無いらしく、その小熊の愛らしい仕草に、作業員さん達は癒されたそうです。
「可愛いな〜♪」
「餌やってみるか?」
「やっぱ肉だろ、肉!(笑)」
相手が熊とは言え、それが小熊ならば、怖がる必要は全く無い。
なので作業員さん達は、自分達の食べていた弁当を『餌付け』してやろうと、小熊に近づいて行ったそうです。
まさかそれが、恐怖の序章に過ぎなかったとは、誰も予想だにせぬままに……。
― がさ。
森の奥から、何者かが動く音。
視線を向ける作業員さん達、その先にいたのは、黒く巨大なる物体。
目にした瞬間、凍り付く、作業員の面々。。。
母熊降臨!
そこに小熊がいたならば、当然の如く、母熊だってセットでいる筈。
その事を考えず、不用意に小熊に近づいた作業員さん達を、母熊が許す筈も無く。
『ぐおーっ!』という母熊の咆哮に、我に返った彼らは、慌てて仮設階段を転がり逃げて行ったそうです。
―――
作業「いや〜、あの時は、本気で死ぬかと思ったよ(笑)」
ボク「うん……」
ボク「お前ら、馬鹿だろ」
森の中で、小熊を見掛けた時には、すぐにその場から逃げましょう。
ええ、その後ろには必ず、母熊が控えているのですから。
ってかこれ、熊を観た事の無いボクが言うのも、ちょっとアレですけど……。
常識ですよね?(汗)