今朝のめざましテレビで、北海道の『カツゲン』が話題になっていたのですよ。
って、カツゲンを知っている人、どれくらいいるでしょうね?
北海道限定発売の乳酸飲料で、フルーティーなヤクルト?みたいなものなのですが。
道民なれば知名度100%のこのドリンクですが、道外の方ならば、ご存知の無い方が殆どかもしれませんね。
『ガラナ』や『やきそば弁当』と並び、北海道ローカルグルメ?として一部マニアに知られる、このカツゲンという飲み物。
今でこそ紙パックに変わってしまいましたが、ボクが子供の頃は小瓶に入っていて、主に銭湯で売られていたのですよ。
牛乳3兄弟(白・コーヒー・フルーツ)と並び、ガラスケースに陳列されて。
牛乳の容量が200ccなのに比べ、カツゲンの瓶は、たったの80cc。
その小さなフォルムに、緑色の文字で『カツゲン』と書かれている。
幼少期のボクは、風呂上がりの脱衣場でそれを眺めながら、いつもこう思っていたものです。
― カツゲン、一度で良いから飲んでみたいな〜。
何しろ貧乏でしたからね、風呂なんて週に一度の贅沢でしたし、風呂上がりのドリンクなど夢のまた夢です。
それでも極稀には親父が飲み物を買ってくれる事があって、ボクはいつも、そこで迷っていたのです。
牛乳3兄弟とカツゲン、一体どれを選ぶかを。
だって前述した通り、カツゲンの瓶は小さいですからね?
滅多に飲めない風呂上がりのドリンクなれば、少しでも多く飲みたいと思うのが、子供心ではありませんか。
それにボクはコーヒー牛乳が大好きでしたし、その日を逃せば今度いつ飲めるか分からないと思うと、やはりコーヒー牛乳を選んでしまうのです。
で、コーヒー牛乳を飲みながら、また『カツゲンにすれば良かったかな?』などと後悔する。
そんなに思うならば最初からカツゲンにすれば良いのに、量の魅力に抗えぬ、浅薄なりし幼少のボク。
そして仕舞には、親父を逆恨みし、ついこんな事を考えてしまう。
― 両方買ってくれれば良いのに。
家が貧乏なのを理解はしていても、それを『納得はしていない』という子供の矛盾。
コーヒー牛乳を買って貰った癖に、それ+カツゲンを買ってくれない親父を、軽く恨んだりして。
全く、とんでもない子供ですね〜(汗)。
で、そんな記憶ばかりが蘇るので、てっきり一度も飲んだ事が無いものと思っていたのですけどね?
何年か前に『現代の紙パックのカツゲン』を飲んだ時、『昔と味が違う!』と思ったのですよ。
然るにボクは、飲んだ事があるのでしょうね。きっとコーヒー牛乳を諦めて、憧れのカツゲンに手を伸ばして。。。
あれから30年以上の時が過ぎ、知らぬ間に姿を消してしまった、瓶入りのカツゲン。
今では『ソフトカツゲン』と名を改め、違う飲み物に変わってしまいました。
カツゲンとは名ばかりの、味の薄い、全く別の乳酸飲料に……。
もう二度と口にする事のないだろう、あの『瓶入りカツゲン』の味は、永遠にボクの思い出の中だけに。