今日の移動中、目の前を走るトラックが、水をバシャバシャと零していたのですよ。
ボク「あのトラック、何積んでるんですかね?」
同僚「カイコだろ」
ボク「蚕?」
― 養蚕(ようさん)?
同僚「いや、ホタテさ。貝っこ」
ボク「『こ』って何ですか?」
同僚「浜言葉だよ。ま、方言だな。この辺じゃそう言う」
彼が言うには、その辺りの浜に住む人々は、貝の事を『カイコ』と呼ぶのだそうです。
てっきり絹糸でも作っているのかと思いましたが、良く考えてみたら、そんなトラックから水が落ちる筈ありませんよね?
きっと海産物を運ぶトラックだから、海水をたっぷりと積み込んでいるのでしょう。
それはそうと分からないのが、『カイコ』という呼び方。
普通に『貝』と言えば良いのに、何故わざわざそこに、『こ』を付けてしまうのか。
方言と言ってしまえばそれまでですが、何ともこう、奇妙な感じがしてなりませんでした。
― 『わんこ』みたいなノリかな?
犬を『わんこ』、猫を『にゃんこ』と呼ぶのは、わりと一般的なこと。
そのまま犬猫と呼ぶのでは無く、愛玩動物として、少し柔らかい表現を使う。
そんなノリで、貝の事をカイコと……。
― 貝って可愛いか!?(汗)
愛情を込めて『こ』を付けるなら、少なくともそれは、『可愛い』と思える存在でなければならない。
しかしホタテは食べ物、愛情を込めて呼ぶ様な対象では、決してありません。
ってかそこらに住む人々にとって、ホタテは商売道具であり、農作物と同等の存在しか有り得ない筈なのに……。
― 可愛いのかな?
自分達が一生懸命に漁をして得たホタテ。
それは生活の糧だから、そこに愛情が生じ、貝では無く『カイコ』と呼ぶ様になったのか。
農家の人々が野菜に愛情を注ぐ様に、この辺りの漁師達は、ホタテ貝に愛情を注いで。。。
ボク「この辺って、岩海苔なんかも採っていますよね?」
同僚「ああ、後はアサリとか、タコとかも」
ボク「やっぱりノリコとかアサリッコとか言うんですか?」
同僚「言う訳無いだろ、アサリはアサリだ」
『こ』って何ですか!?(悩)